支える人が「じぶん」から始めるケア|仲間とのチャリティのご報告

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20251213チャリティーイベントタイトル 講演会

2025年12月13日、「支える人が『じぶん』から始めるケア」をテーマにしたオンラインチャリティイベントを開催しました。

ご参加くださった皆さま、誠にありがとうございました。

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また、主催「Re・member」の皆様。

メンバーの一員として、参加させていただき、ありがとうございます。

本チャリティーは、支援の現場でがんばり続けている方々に、「まずは自分を大切に」というメッセージを届けたいという思いから、Somatic Experiencing®(SE™)を学ぶ仲間と共に立ち上げた企画です。

当日は、画面越しにも皆さまの温かさや真剣さが伝わってきて、企画メンバーの一人として、そして一人の支援者として、とても満たされた時間になりました。

この記事では、チーム「Re・member」への感謝とともに、当日の学びを振り返りながら、「支える人がじぶんからケアを始めること」について、クライアントさんと支援者の方の両方に向けて言葉にしてみたいと思います。

チーム「Re・member」の想い

今回のイベントを企画したのは、Somatic Experiencing®(SE™)トレーニングを通して出会った8人のチーム「Re・member」です。

共通していたのは、「支える人自身が、自分の心とからだをいたわることの大切さを伝えたい」という願いでした。​

準備期間のミーティングは、私たちにとっても協働調整(co-regulation)の時間でした。誰かが疲れているときには、別の誰かがふっと笑いを起こしてくれる。

真剣に話し合いつつも、「軽やかに楽しんでやりましょう」という合言葉が、いつも土台にありました。

その安全なつながりがあったからこそ、当日、参加者の皆さまをお迎えすることができたと感じています。

本番前にメンバーへ伝えたメッセージのように、このご縁自体が、私の人生の大切な宝物です。

トラウマを「からだの反応」として捉え直す

人生の中で、私たちはさまざまな「傷つき体験」を経験します。

そのときの出来事そのものだけでなく、心ない言葉や無視、空気の重さなど、目には見えない形で心とからだに残ることもあります。

トラウマを「出来事そのもの」ではなく、「その出来事を生き延びるためにからだが選んだ反応パターン」として捉え直します。

脅威を前にしたとき、からだは自動的に最善を尽くしてくれます。

それは決して弱さでも失敗でもなく、「生き残るための知恵」なのだという視点を大切にしています。

レジリエンスゾーンという「ちょうどいい川の流れ」

私たちの神経は、アクセルを踏んだり(緊張・興奮)、ブレーキをかけたり(ぐったり・動けない)、その真ん中を行ったり来たりしています。

ポリヴェーガル理論では、こうした働きを、自律神経の仕組みとして説明します。

この「ちょうどいい真ん中」の範囲をレジリエンスゾーン(耐性領域)と呼んでいます。

川の流れにたとえると、真ん中を心地よく流れている状態がレジリエンスゾーン。

片側には「激しい急流(アクセル全開)」、もう片側には「淀んだ沼(ブレーキ強め)」があります。

大切なのは、「今の自分はどのあたりを流れているかな」と気づいてあげること。

そして、はみ出してしまったと感じたら、少しずつ真ん中に戻る方法を一緒に探していくことです。

「今、ここ」のからだに気づく小さな練習

イベントでは、ただ理論を聞くだけでなく、「今ここ」のからだの感覚にやさしく気づく練習をしました。

  • 例えば、からだの状態を観察する「トラッキング(Tracking)」。
  • 例えば、安心や支えになるものに意識を向ける「リソーシング(Resourcing)」。

「からだはどんな感じがしますか?」

そんな問いかけとともに、温かさ・少しのドキドキ・椅子の支え…といった、ささいだけれど確かにそこにある感覚に目を向けていきました。

合言葉は「Less is More(少ない方が、より豊かになる)」です。

がんばって一気に変えようとするのではなく、「ちょうど良い加減」を探すような、やわらかなセルフケアの入り口を体験していただきました。

支援者の「在り方」と境界線

支援の仕事では、「どんな技法を使うか」と同じくらい、「どんな在り方でそこにいるか」が大きな影響を持ちます。

その土台のひとつが、境界線(Boundaries)です。

境界線は、身体的・感情的・時間的な「見えない線」のようなもの。

トラウマ体験がある方にとって、この線が尊重されることは、安全を感じられるための大切な条件になります。

また、コミュニケーション研究で知られる「3V」の話も紹介しました。

言葉そのもの以上に、声のトーンや表情・姿勢といった非言語の部分が、安心感や信頼感に大きく関わるという考え方です。

SE™のトレーニングで、企画メンバーの一人が、ある体験を話してくださいました。

休憩中、メンバーの近くに、講師がただ静かに同じテーブルに座ってくれたことがありました。

言葉はほとんど交わさなかったのに、帰る頃にはふっと緊張がゆるみ、からだが温かくなっているのを感じたそうです。

「ただ一緒にいてくれる」在り方が、どれほど大きな支えになるのかを教えてくれるエピソードでした。

企画メンバーとして・一人の参加者として

当日は、画面越しに、参加者の皆さまの表情や言葉から、協働調整(co-regulation)の空気を感じました。

企画チームが「軽やかに楽しんでやろう」と互いの神経系を整えていたことが、そのまま場の安心感につながっていった…のかもしれません。

ブレイクアウトルームで、「ただ手のひらが温かいと感じるだけで、こんなにホッとするんですね」と話してくださった方がいました。

私たち企画メンバーが伝えたかったことが、その一瞬のシンプルな身体感覚の気づきにギュッと結晶したようで、胸が熱くなりました。

「支える人がじぶんから整えること」は、決して特別なことではなく、こうした小さな「ホッとする瞬間」を共に見つけていく営みなのだと、改めて感じています。

おわりに - じぶんが整うと周りも整う

このイベントで一番お伝えしたかったのは、「じぶんが整うと周りも整う」という、とてもシンプルなメッセージでした。

自分の心とからだにやさしく注意を向け。

必要なときには立ち止まり。

誰かと安心できる時間を持つこと。

それは決してわがままではないと、私は思います。

むしろ、あなたの大切な人たちを守るための土台にもなります。

ご参加くださった皆さま。

そして一緒に場をつくってくれたチーム「Re・member」の仲間たちへ。

あらためて感謝をお伝えします。

今回の学びや気づきが、皆さまの日常の中で、小さな「安心のタネ」として育っていきますように。

私たちチーム:Re・memberの紹介ページ

今回のチャリティーイベントを企画した、チームRe・memberの紹介ページです。

イベント当日のお土産資料:参考リンク集と書籍ページ

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参考書籍

ソマティック・エクスペリエンシング入門

身体はトラウマを記録する――脳・心・体のつながりと回復のための手法

トラウマインフォームドケア :“問題行動”を捉えなおす援助の視点

不安・イライラがスッと消え去る「安心のタネ」の育て方 ポリヴェーガル理論の第一人者が教える47のコツ

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